こんにちは!
小学生のお子さんのをもつ保護者の皆さんは、こんなことでお困りではないですか?
✅毎日の宿題の点検が大変
✅子どもがなかなか宿題を始めない
✅お子さんが宿題をやりたくなくて癇癪を起こす
しびれを切らして「早く勉強しなさい!」というような言葉をかけるのも、保護者の方にとってはストレスになります。
できればお子さんに自主的に学習に取り組んでほしいものですよね💦
特に発達障害を持つ小学生のお子さんが学習を自分から取り組むためには、大きく3つのポイントがあります。
1.「一緒にやろう」と声をかける
2.学習ツールを活用する
3.安心して取り組める環境を整える
どれも実際に放課後等デイサービス(以下:放デイ)の学習の時間に行っている方法です。
放デイを見学者される方々からは口をそろえて「学習中こんなに静かなんですね…!」と驚きの声が聞かれます💡
発達障害の有無にかかわらず、お子さん自身が自分で学習に取り組めるようになると自信や成功体験になります。
今回は、発達障害を持つお子さんが宿題や学習に自主的に取り組める支援方法について具体的に解説していきます。
発達障害の子どもがなかなか宿題を始められない理由
特に発達障害を持つお子さんが宿題になかなか取り組めない理由には、発達障害特有の脳のしくみが関係していると言われています。
①ワーキングメモリが低い
ワーキングメモリについて、「LITALICOジュニア」さんの記事を引用して説明します。
ワーキングメモリとは「作業に必要な情報を、一時的に保存し処理する能力」のことで、作業記憶などとも呼ばれることがあります。
https://junior.litalico.jp/column/article/014/
つまりワーキングメモリとは、指示されたことを短期的に覚えて頭の中で整理したり、言われた通りに行動したりするような時に働きます。
発達障害を持つ方はこのワーキングメモリの働きが弱いという特性を持っている場合があります。
ワーキングメモリが低いと、以下のようなことが起きやすくなります。
- 複数の指示を覚えられない
- 見通しを立てることが難しい
- 周囲に注意がそれやすい
- 行動の切り替えが苦手、時間がかかる
このようなことが原因で、なかなか宿題に対する意欲が湧かなかったり注意が向かなかったりしています。
しかし、早く宿題を始めないと周りの大人に「早くやりなさい」と言われます。
すると、宿題は「やりたくないもの」「嫌なこと」というネガティブなイメージが付きやすくなってしまうのです。
②エンジンがかかるまでにエネルギーが何倍もかかる
ADHD(注意欠如・多動性障害)の方は、何かやらなければいけないことがある時に動機付けが強いほど衝動的にすぐ動くことができます。
反対に、「やりたくない」「面倒くさい」という負の感情や自分にメリットがないと感じる行動に対してすぐに動き出すことが難しいです。
一見、「先延ばしグセがあってだらしない」と思われがちですが、これも脳のしくみがそうさせているのです。
この2つが合わさると、やらなければいけないことなのは分かっているけれどなかなか手をつけられないことに罪悪感を感じます。
そして自己肯定感が下がってしまうという二次的な影響も心配されます。
③やる意味が分からない
そもそも宿題が学校から毎日出されるのは、
- 学習内容を定着させるため
- 学習習慣を定着させるため
- やるべきことをやる力をつけるため
というのが主な理由だと思われます。
発達障害を持つお子さんには先を見通す力が弱いという特性をもつ場合もあります。
よって、今宿題に取り組まなくてもいいという思考に至って後回しにしがちです。
今宿題に取り組むことによってどんなメリットがあるのかをお子さん自身が理解することができれば、スイッチが入りやすくなるのではないかと思います。
発達障害の子どもが宿題に取り組むための3つのしかけ
ここからは発達障害を持つ子どもが学習に自主的に取り組むための3つのしかけについて解説していきます。
実際に放デイで行っている支援方法を交えて話します。
1.「一緒にやろう」と声をかける
「やりたくない…」と言ってなかなか宿題を机に出さないお子さんに対しては、まず「一緒にやろう」と声をかけます。
宿題は基本的にその日の授業の内容が出題されます。
しかし、授業の内容が分からなかった時や苦手な内容の宿題が出されたときには一人で宿題ができるか不安になっていることがあるからです。
そのようなときには、一緒に宿題を確認して見通しを持たせます。
そして一番簡単で早く終わる宿題から取り組みます。場合によっては宿題を机に出してあげて、
「どれどれ…」
と大人が解いてみましょう。
答えが出る前に「やる!」と言って鉛筆を奪っていくお子さんもいます(笑)
「これであってる?」
と子どもに確認すると、宿題のプリントを見はじめます。
ここで子どもは、自分でできそうな問題かどうかを見極めています。
- 「できそう」であること
- 「すぐ終わりそう」であること
これらの確信が持てれば自分で鉛筆を持ってやり始めます。
この「一緒にやろう」という言葉は、学習に限らず日常生活の中においても、子どもの気持ちに寄り添いながら子どもの成功体験に結びつけるためのパワーワードだと思います。ぜひいろいろな場面で活用してほしいです!
それでも始められない時はこうします
例1 宿題を始めるまでに注意がそれるパターン
この場合は、お子さんの導線に刺激が入らないようにし、宿題までの工程をシンプルにします。
実は、学習を始めるまでには様々な工程があります。
学習ボックスを取りに行く
→連絡帳で宿題を確認する
→学習ボックスに宿題を入れる
→自分の席まで運ぶ
→席に着く
→宿題を連絡袋から取り出す
→筆箱から鉛筆を取り出す
このような工程を経てやっと宿題が始まるんです。
習慣化するまでは、
- まず何からしたらいいのか分からなくなってしまう
- 勉強よりも遊ぶ方が楽しい
などの誘惑や思考の混乱など壁が立ちはだかります。
具体的な支援としては、机に向かうまでの間に本人にとって刺激となる物をなくし、極力視界に入らないようにします。
また、宿題を始めるまでの工程をシンプルにし、場合によっては書き出して視覚化します。
このようにして宿題を始めるまでのハードルを下げることが必要です。
例2 宿題を「絶対やらない!」パターン
この場合は、まず子どもの気持ちを落ち着かせてから、どうしたいのか言葉で伝えられるように支援します。
「宿題」という単語を聞いただけで癇癪を起こすほど宿題が嫌なお子さんもいます。
癇癪を起こすのは、
- 注目してほしい時
- 自分の要求を主張したいとき
- 嫌なことがあったとき
だとされています。
つまり、宿題という嫌なことを拒否したいけれど、うまく言葉で表現できないということが背景にあります。
癇癪を起こした場合はまずその場を沈めることが最優先です。
1.子どもの安全を確保する
2.刺激から遠ざける
3.落ち着いたら褒める
このような順番で気持ちを落ち着かせます。
「宿題」「勉強」といった言葉に敏感な場合は、
「今日は何もらってきたの?」
「まず鉛筆出してみようか」
と、「宿題」という言葉を直接使わずに話しかけましょう。
場合によっては宿題とは関係ないポジティブな話をしたり、パズルや絵本などを見たりして少しだけ宿題から思考を逸らすのも一つの方法です。話をしながら興奮しすぎないように気持ちを高めます。
宿題を机に出して鉛筆を持てたら
「プリント出せたね」
「鉛筆出せたね」
などと、起こした行動そのものを実況するように褒めます。
そして、
「次どうする?」
と、指示ではなく自分で選択できるように問いかけて少しずつ宿題ができる環境にしていきます。
2.学習ツールを使う
宿題の内容が分からない時には、
分からないことを知らせるための支援と
知識を補うための支援
が必要です。
なかなか自分から「分かりません、教えてください」と意思表示するのが難しいお子さんもいます。
私が働く放デイでは、主に次のような支援を行っています。
分からないことを知らせるための支援:ヘルプカード
学習の机一つ一つに「ヘルプカード」というカードを置いています。
分からない問題を質問するときや学習中に困ったときには手を挙げるようにカードを掲げて知らせる仕組みです。児童指導員はそれにすばやく気付いて対応しなければなりません!
初めは恥ずかしそうにしてなかなかカードを上げることができなかったお子さんには、「教えてくれてありがとう」と一言添えて対応しています。
今では少しずつ使う頻度が増えてきました😊
知識を補うための支援:漢字一覧表などの学習ツール
具体的には以下のようなツールを使っています。
- ひらがなをカタカナに直したい時は「ひらがな・かたかな表」
- 分からない漢字は「学年別漢字一覧表」
- 九九を思い出したい時は「九九表」
- 時計を読む時は1分おきに数字が書かれた「時計早見表」
これはカンニングではなく、学習を助けるツールによる「合理的配慮」です👍
例に挙げた教材のダウンロード・閲覧はこちらから↓↓↓
・ちびむすドリル 学年別漢字表 https://happylilac.net/mu1803101048.html
・ちびむすドリル 九九表 https://happylilac.net/kuku.html
・ちびむすドリル 単位変換表 https://happylilac.net/sy-unit.html
・特別支援教育すぐに使える!プリント+ビデオクリップ https://sn1.e-kokoro.ne.jp/print/print_detail.php?kyozaino=p-049
3.宿題に安心して取り組める環境を整える
学習時は集中力を保ちやすいように、物や人による刺激の少ない環境を作ります。
子どもたちの中には、周囲の人の動きや視覚的な刺激によってなかなか集中することが難しいお子さんもいます。
視覚優位のお子さんは机の周りに学習に関係のないものがあるとつい気を取られてしまいます。
また、聴覚優位のお子さんは、外の音や話し声、ちょっとした物音にも気を取られてしまいます。
まずは、学習机の上は学習で使う物のみを置き、必要ない物は片付けましょう♪
私が働く放デイの学習エリアでは、パーテーションや仕切り付きの学習机を使って周囲の視覚的刺激と切り離し、目の前の学習に集中しやすくなる環境を作っています。
パーテーションが無くても机の位置や向きを変えるだけでも効果がありますよ💡
また、周りの話し声や物音が気になってしまう時に使えるアイテムが「イヤーマフ」です。
個々の過敏さに対応して席の配置を考えているので、安心して学習に取り組むことができます。
ゲーム感覚で学習するのも効果的!
スタンプカードを使ったミッション形式にして取り組む
宿題が終わったらできることを先に決めておくと、宿題の先の行動に見通しを持つことができて子どもの学習へのモチベーションを高めることができます♪
初めは外的要因による動機付けでも、「できた!」という経験作りが大切です。
例えば、
「スタンプが10個集まったらおやつが1つ増える」
「スタンプが20個集まったらゲームの時間を5分延長できる」
などです。
どんなごほうびを用意するか、お子さんと相談して決めましょう。
まとめ
今回は、発達障害を持つお子さんが宿題や学習に自主的に取り組める支援方法についての解説をしました!
特に発達障害を持つお子さんは、以下のような特性が一因となって自分から宿題に取り組むことが難しいと言われています。
✅ワーキングメモリが低い
✅エンジンがかかるまでにたくさんのエネルギーが必要
そこで、以下の3つのしかけを用意することで、子どもたちは宿題に取り組みやすくなると提案しました。
①「一緒にやろう」と声をかける
②学習ツールを使う
③安心して取り組める環境を整える
大切なのは、お子さんの行動を認め、褒めることで「できた!」経験を増やし、宿題や学習の時間をポジティブな気持ちで過ごすことです。
習慣化するまでは大変ですが、子どもの特性を生かした仕掛けを用意することで、
- 子どもにとっては達成感や自信を得ることができる
- 大人にとっては「早く勉強しなさい!」と言うストレスからも解放される
というメリットがあり、お互いが気持ちよく過ごすことができると思います!
今回紹介した方法は、私が実際に放デイで行っている方法であり完全な効果を証明する物ではありません。
しかし、お子さんに合わせて実践して効果的だったものばかりです!!
ぜひ参考にしていただけると嬉しいです🌼
また、「もっとこんな方法もあるよ」「これはどうなの…?」といった忌憚のないご意見も、コメントやTwitterのリプライにていただけますと大変有難いです!
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では、今日も心に太陽を☀