こんにちは~!
突然ですが、こちらの画像の中に書かれている1~50の数字を順番に探してみてください!
どうですか?少し難しく感じた方もいるかもしれません💦
今回は、私が働いている放課後等デイサービスで毎日行っている「ビジョントレーニング」についての話題です。
ビジョントレーニングとは?
ビジョントレーニングとは、視覚機能(見る力)を高めるためのトレーニングです。
最近の子どもたちは、屋内で小さなゲーム機を使って遊ぶ機会が増え、屋外で身体を動かしたり、積み木や砂場で物を作ったりする遊びが減っているようです。このように遊び方が変わっていくなかで、眼と身体を大きく動かしたり、物を見て触れたりする経験が少ないと、視覚機能が発達しにくくなると言われています。
視覚機能が発達する前に小学校に入学すると、
・文字の読み書きがしづらい ・板書をノートに写すことが難しい ・キャッチボールが苦手 ・工作などの手先の細かい動きが難しい ・お手本通りにダンスをすることが難しい ……
などといったことに直面することが考えられます。こういったことがきっかけで学習や運動に対して自信をなくし、嫌いになってしまうことにもつながりかねません。
しかし!!ご安心ください。視覚機能はトレーニングをすることで改善することができます💡
元々スポーツ選手のトレーニングで取り入れられていたビジョントレーニングは、発達障害の有無に関わらず子どもの視覚機能を高めるのに効果的だと言われています。
では、どのようにして視覚機能を高めるのでしょうか?
ビジョントレーニングはどんなことをするのか
ビジョントレーニングには大きく
「眼球運動トレーニング」
「視空間認知トレーニング」
「眼と体のチームワークトレーニング」
の3つに分類されます。
眼球運動トレーニング
1つ目の眼球運動トレーニングには
「追従性眼球運動」
「跳躍性眼球運動」
「両眼のチームワーク」
の3種類があります。漢字がたくさん出てきましたが、それぞれ簡単に説明します!
追従性眼球運動
動いている物や本に書かれている文字、線などをなめらかに眼で追いかける運動のことです。動きがなくても、一点を見つめることもこれに該当します。例えば、飛んでいる鳥を眼で追いかける、学校の先生が黒板に書いた漢字の書き順を眼で追う、スケッチするのに物をじっと見て観察するなど。
この働きが弱いと、文字を飛ばして読んでしまったり、はさみで線上を切ったり線で折ったりすることが苦手になりやすいです。
跳躍性眼球運動
ある1点から他の1点へ視線をジャンプさせる眼球運動のことです。例えば、黒板と自分のノートを交互に見る時や、人混みの中から人を探す時、文章の次の行に視線を移す時に働きます。
この働きが弱いと、音読や読書で行や文字を読み飛ばしてしまったり、板書をノートに書き写すのが遅かったり、球技が苦手になりやすかったりします。
両眼のチームワーク
近くの物や遠くの物を見るのに焦点を合わせる時に、両眼を寄せたり離したりして見ています。これが両眼のチームワークです。
この働きが弱いと、物が二重に見えたり、物にぶつかりやすかったり、立体を捉えることが難しかったりします。
視空間認知トレーニング
眼で捉えた物が何であるかを認識するときに必要になるのが「視空間認知」です。
視空間認知は、
・対象物とその背景を区別し、見たい情報を抽出する
・眼で見た物の形や色を把握する
・眼で見たものを立体的に捉え、上下・左右を認識する
といった働きをします。
これらの働きが弱いと、漢字を覚えるのに時間がかかったり、道に迷ったり、お絵かきやぬり絵が苦手だったり、人の顔を覚えるのが苦手だったりします。
眼と体のチームワークトレーニング
眼で見た物に基づいて体を動かす指示を脳が出し、体が動きます。つまり、脳が認識した情報を出力するための機能です。
また、体を動かすのに必要な要素として、自分の腕や足の長さ、大きさ、動かし方などを頭で描く能力である「ボディイメージ」というものもあります。
これらの力が弱いと、体の動きがぎこちなかったり、物や人にぶつかってしまうことが多かったり、道具を使った運動やダンスが苦手であることが多いです。
ビジョントレーニングで身につく力
書籍『発達の気になる子の学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング/北出勝也 ナツメ社』によると、ビジョントレーニングを通して視覚機能が高まることで、次のような7つの力が身につくと言われています。
①書く(描く)力
②読む力
③作る力(手先の器用さ)
④運動する力
⑤集中力・注意力
⑥記憶力
⑦イメージ力
もし、ここまでの内容で身近なお子さんに心当たりがある、スポーツや武道において身体能力を高めたいとお考えであれば、発達障害の有無にかかわらずビジョントレーニングはおすすめです!
ビジョントレーニングはどこでできるの?
ビジョントレーニングは、私が働く放課後等デイサービスや児童発達支援事業所だけではなく、視能訓練士のいる病院や施設でもできるようですが、皆さんのご家庭や学校でもできるんです!
自宅でできるとはいえ、高い器具を買うようなことはありませんのでご安心ください(笑)
家にある物でできるトレーニングもありますし、インターネットでプリント教材等を無料でダウンロードすることもできます!
【番外編】ミント先生がよく使っているプリント教材のサイト
・特性に応じた支援をサポートする 特別支援教育手作りわくわく教材
https://kyozaisupport.com/mojivision2/
・メノコト365
・専門家が作る子ども向け無料プリントサイト やんちゃワーク
本当に効果はある?
実際に私が働く放デイに通う4年生のお子さんは、運動が得意で身体能力は高いのですが、板書を書き写すのが苦手で誤字・脱字があったり、漢字を覚えるのに苦労したりすることがあります。間違い探しやピンポン球キャッチなどの体を動かしながら行うビジョントレーニングを繰り返し行い、ここ1年の間でみても漢字ドリルを見てノートに書き写すのが格段に速くなったように感じます。宿題にかなり時間がかかっていましたが、今では30分の間に終わらせることも増えてきました。
【元小学校教員が推す】学校で朝の会に実施することをおすすめしたい!
私が働く教室では、毎日5分ほどビジョントレーニングをする時間を設け、週に1日ほど活動の時間に行っています。
ビジョントレーニングは5分程度でできるものばかりです!
教材も一度作ってしまえば繰り返し使うことができますし、何より繰り返すことが大切になってきます。
学校の朝の会や授業始めなどの少しの時間で行うことで、休み時間からの切り替えにもなりますし、子どもたちの集中力も高まると思います!
最後に
今回は、学習や運動、生活に欠かせない視覚機能を高める「ビジョントレーニング」について、自分の知識の整理も踏まえて書かせていただきました!
コロナ禍で拍車がかかった近年のゲーム機の普及…これは発達途上の子どもたちの視覚機能の発達に大きく影響します。子どもの可能性が狭くなってしまうことは悲しいですよね😢
発達障害の有無にかかわらず視覚機能は大切な体の機能ですので、ビジョントレーニングを通して視覚機能を鍛え、子どもの長所をさらに伸ばしていけるよう支援していきたいです!
具体的にどのような物を使ってどのように行うのかは、私たちが放デイで実際に使っている物ややってみたトレーニングについて、今後また別の記事にまとめたいと思いますのでお待ちください♪
では、今日も心に太陽を☀
〈参考文献〉『発達の気になる子の学習・運動が楽しくなる ビジョントレーニング』著 北出勝也 ナツメ社